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埼玉県越谷市 社会保険労務士・行政書士 宮崎事務所です。ご相談はお気軽にどうぞ。

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養育費とは

 子供を連れて離婚する場合、最も難しい問題が養育費です。この養育費とは、「両親の扶養義務に基づいて、子を監護していない側が、監護している側に子供の生活のために支払う金銭」のことをいいます。親は自分の子供に対して自分と同じ生活レベルをさせる義務があります。この扶養義務はとても重く、「たった一杯のご飯でも分け合うぐらいのレベル」まで求められます。「給料から自分の生活費を取って、残りを養育費にすればいい」というようなものではありません。ましてや自分の趣味や娯楽のために養育費を少なくしたいなどは、とんでもない話です。そのような要求をのむ必要はありません。断固として請求すべきです。

 養育費の支払金額や支払方法などは、通常離婚するときにお互いが話し合って決めます。しかし、子供が成長するまで現在の状況が続くという保障はどこにもありません。例えば、失業、死亡、再婚、子供だってどんなことが起こるかわかりません。そこで、「特別な事情があれば将来変更が可能」という取り決めを離婚協議書に書いておきましょう。仮に変更の取り決めがなくとも調停などによって変更は可能ですが、面倒な手続や高額な弁護士費用を支払うのは避けたいものですね。



養育費はこうする!

 例えば自営業や非正規雇用のように安定した収入が無い場合、長期間にわたって一定額を支払ってもらうのは難しいかもしれません(正社員だから安心とはいきませんが)。事実、約7割のケースで養育費の取り決めが守られていないといわれています。その一番の理由は経済的に苦しいというものです。確かに相手にも事情はあるでしょう。しかし、一番大切なのは子供の生活です。子供のために、きちんともらえるように有利な取り決めを考えましょう。
財産分与・養育費・慰謝料を含めた一時金を多く貰っておく
 ただし、不動産などは固定資産税やローンなどが問題となります。

相手の親などに連帯保証人になってもらう
 強制はできませんので、相手の親に断られる可能性があります。あまり拘るのもどうかと思います。

子供を受取人とした生命保険に加入してもらう
 あまり保険料を高額にすると支払いに不安がありますので注意。

支払いが遅れた場合の利息を決めておく
 心理的な圧迫を与える効果がありますが、無い袖は振れないということもあります。

強制執行認諾約款付き公正証書を作成する
 「未払いなら強制執行できる」という文言を入れることで、強制執行がすぐにできます。

高校・大学の入学金は別途支払ってもらう

 事前に金額を決めておいても構いませんが、そのときにいくら必要になるかはわかりません。将来、医学部や音大に行きたいとなった場合、かなりの出費になるでしょう。そこで、「入学金の50%を支払う」「入学が決まった時点で協議する」などとしておいた方が良いでしょう。


養育費の取り決めがない場合

 養育費は離婚届を出す前にきちんと決めておくべきです。しかし「すぐに離婚さえできればいい」というケースもあるでしょう。もちろん当事者が納得していれば問題はないのですが、現実の生活を考えればお金は絶対に必要です。母子家庭の約8割が生活が苦しいという調査結果もあります。
 離婚したときには仕事もあり、生活に不安がなかった人でも、後から生活が苦しくなることがあるかも知れません。それでは、離婚した後でやはり養育費を請求したいという場合はどうすればよいのでしょうか。

①相手に連絡を取り、今後の養育費について話し合いましょう。養育費は自分のためではなく、子供のためであることを忘れずに。
              
②話し合いがつかないときは、家庭裁判所へ調停を申し立てることになります。請求権そのものに時効はありませんので、子供を育てている最中であれば請求できます。ただし、通常は請求した時からの支払いとなり、今までの分まで認められるケースは少ないです(過去の分についても、相手の扶養分を立て替えていたということで請求することはできますが、認められるとは限りません)。

養育費が未払いになったら

 どうしても相手から養育費を支払ってもらえなければ、まずは電話や内容証明郵便などで催告し、それでもダメなら最終的には法的手段に訴えることになります。
 調停や審判で養育費の支払いが決められている場合には、家庭裁判所に「履行勧告」を申し立てることができます。これが認められると、家庭裁判所は相手に対して養育費を支払うように勧告しますが強制力はありません。
 履行勧告に従わない場合には、「履行命令」の申立てをすることになります。この履行命令に従わない場合には、10万円以下の罰金になります。
 調停や審判以外で養育費の取り決めをした場合や、履行命令にも従わない場合には、強制執行を行うことになります。強制執行とは、支払い義務のある相手側(債務者)が支払いを約束した金額を支払わない場合に、強制的に相手側(債務者)の財産(通常は給料です)を差し押さえ、支払いを実行させる制度です。強制執行は自分で勝手に行ってはいけません(これを自力救済の禁止といいます)。必ず裁判所を通して行わなければなりません。
 なお、この規定は養育費だけではなく、婚姻費用の分担請求でも同様に適用されます。 
 
 強制執行を行うには以下の条件が必要です。
①調停調書、公正証書、判決などで養育費の支払いが約束されていること
 この文書を債務名義といいます。口約束だけではダメです。

②債務名義の正本があること
 判決の場合は、執行文付与の申し立てをして執行文をもらっておきましょう。

③債務名義の正本又は謄本が、債務者に送付されていること
 裁判所又は公証役場に送達の申請をします。送付後に送達証明書をもらい、差押申立書に添付します。

④弁済期が到来していること
 要するに支払期限が過ぎているということです。ただし、養育費の場合には、一度未払いがあれば将来の分も同時に強制執行することも可能です。


 なお、家庭裁判所の調停・判決などで決めた養育費・慰謝料などを支払ってもらえない場合には、履行勧告・履行命令という方法もあります。差し押さえなどの強制執行は手続きも大変ですから、まずは履行勧告・履行命令から始めるのがいいでしょう。


給料の差し押さえ
 相手が会社員であれば、相手の給料を差し押さえることになります。相手が会社の役員なら役員報酬、自営業者なら売掛金などを差し押さえることになります。ただし、年金は差し押さえできません。
 給料の差し押さえをするには、「債権者差押申立書」を裁判所へ提出します。同時に「第三債務者(相手の勤務先)に対する陳述の催告の申立書」も提出します。
 なお、裁判所の手数料・切手代など最低でも2万円ぐらいは必要になります。

 差し押さえが出来る上限額は、相手の給与(基本給+交通費以外の諸手当から、社会保険料・税金などを控除した後の手取額)によって変わります。
 
相手の給与が66万円以下の場合・・・1/2
   〃   66万円超の場合・・・・給与-33万円の全額


差し押さえ可能額の計算例
①相手の手取り額が100万円の場合、100万円-33万円=67万円
②相手の手取り額が20万円の場合、20万円×1/2=10万円

が差し押さえできる上限金額となります。
 
なお、役員報酬の場合には給与とは違い、差し押さえの上限額はありません。理屈の上では全額を差し押さえることが可能です。ただし中小企業の社長の場合、自分の報酬は自分で決めているケースがほとんどですから、報酬額が急に変更されるおそれはあります。

事実婚の子ども場合

 事実婚の夫婦間に生まれた子どもは、「非嫡出子」として母の戸籍に入り、母の姓を名乗ることになります。父親が認知することで、はじめて父親との親子関係が発生することになります。ということは父親が認知しない限り扶養義務は発生しませんから、事実婚を解消した場合に養育費を請求することができません。
 ですから、子どもが生まれたらすぐに認知の手続きをしておきましょう。
 なお、認知していない場合は、父親の遺産を相続することもできません。












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